問7 27年度 春期分  ITパスポート試験

問題

問7 NDA(Non Disclosure Agreement)のソフトウェアの事例はどれか。

ア ITサービスを提供する前に、サービスの提供者と顧客の間で提供されるサービス内容について契約で定めた。

イ コンピュータ設備の売主が財産権を移転する義務を負い、買主がその代金を支払う義務を負うことについて契約で定めた。

ウ システム開発などに際して、受託者と受託者間でお互いに知り得た相手の秘密情報の守秘義務について契約で定めた。

エ 汎用パッケージ導入の委託を受けた者が自己の裁量と責任によって仕事を行い、仕事の完了をもって報酬を受け取ることについて契約で定めた。

解説

この問題は理系の情報系の知識より、民法を少しばかり知っている人の方が有利でしょう。

アはService Level Agreement(SLA)のことです。ものごとには品質というものがあります。例えばテレビだったらとりあえず映れば機能要件は満たしていると言えます。ですが画質や壊れにくさという品質もあります。車だったらとりあえず走れば機能要件は満たしますが、耐故障性などの品質もあるわけです。ソフトウェアも同じで、とりあえず要求した機能はあっても実行速度であったり必要なメモリ量であったり、不測のエラーに対する耐故障性だったりで品質があるわけです。ソフトウェアが納入されて、とりあえず要求した機能は動くものの、この適当さはないでしょう、というのを防ぐためにSLAを契約として締結しておきます。ソフトウェアを請け負う側にとっては不利ですが、発注側にとっては必須と言えるでしょう。

イは民法の売買契約です。普通はこんなことを気にせず買い物をしていると思いますが、民法で厳密に定義すると、物を売る、物を買うという意思表示の合致で売買契約が成立し、売買契約が成立すると、買う側は引渡請求権という権利を得、売る側は代金支払請求権という権利を得ます。

ウこれが正解です。

エは民法で定められている請負契約のことです。請負契約は建設業者の工事契約で使われるもので、工事を請け負った側は「仕事の完了」をさせなければ契約を履行したことになりません。つまり中途半端な出来になってしまい、頑張って作ったけど満足するものが作れませんでしたではダメなのです。実はソフトウェアの開発というのはこの建設業における工事契約と同じ、請負契約として扱われます。つまりSIerはソフトウェアを開発するという「仕事の完了」をさせなければ報酬の支払を拒まれても仕方ないのです。

この請負契約は、委任契約という弁護士への依頼や医者への依頼に使われる契約と対照的なものとして民法で定義されています。委任契約は努力義務なので目的が達成されなくても良いのです。最善の努力をしたけれども裁判で負けてしまったとしても弁護士は仕事をしたことになります。ですが、ITベンダーの場合は努力するだけではだめで、要求通りのソフトウェアを作って完成させなければ仕事をしたことにならないのです。最善の努力をすれば許される委任契約と、完成させなければ原則報酬を請求できない請負契約の違いが請負契約でソフトウェア開発を行うSIerの3Kというものに結びついているということは知っておいた方が良いでしょう。

解答