平成14年度 憲法 国税専門官

スポンサーリンク

問題

外国人の基本的人権に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なのはどれか。

1 憲法第22条第2項により保障される出国の自由には帰国の自由も含まれると解されるから、一時出国した在留資格を有する外国人がその在留期間満了の日以前に我が国に再び入国する、いわゆる再入国の自由についても、原則として保障される。

2 外国人が政治活動を行うことは、参政権を行使する場合と異なり、国民の主権的意思決定に影響を与えることはないから、その自由は日本国民と同様に保障さ れ、法務大臣が、外国人の在留期間の更新の際に、外国人が在留期間中に行った政治活動を消極的な事情として斟酌することは許されない。

3 社会保障上の施策において在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、その政治的判断により決定することができるから、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許される。

4 個人の私生活上の自由の一つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由をゆうするものというべきであり、この自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解されるから、在留外国人のみを対象とする指紋押なつ制度は、憲法第13条および第14条に違反し許されない。

5 国民主権の原則にかんがみ、また、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素をなすものであることをも併せ考えると、憲法第93条第2項にいう「住民」 とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味すると解されるから、法律によって、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙について外国人に選挙権を付与することは許されない。

解説

1 在留外国人とは、日本に一時的に居住することを許された外国人です。その外国人が出国する自由があるのかどうか、一度出国した後、再入国する自由が 憲法上保障されているのかが論点になります。在留期間の間は日本に居住することができるわけですから、一度出国しても、在留期間内だったら自由に入国して もいいでしょう、というのがこの訴訟を起こした外国人の言い分です。ですがその言い分は最高裁判所判決で否定されました。

判例は、出国の自由と入国の自由について日本国民には当然保障されているとしています。一方で外国人については権利の性質上保障されていないとしています。権利の性質上というのは、権利には様々な種類があり、ものによっては外国人にも人権として保障されるが、ものによっては保障されない権利もあるということです。

まず外国人には出国の自由はあります。憲法上保障とまではいっていませんが、外国人である以上、本国へ帰る必要がありますから、出国の自由はあって当然です。日本政府としても出て行ってもらう分には困らないのです。よって外国人が日本を出国する自由は認められています。

ですが、外国人の入国の自由は憲法上保障されていない、と判示されています。そこで問題文の再入国についてはどうかというと、再入国とは一度日本の外に出てから、また日本に戻ってくるということです。日本から出る自由は当然ありますが、一度出たら再度入国する自由は憲法上保障されていないので、入国を制限、つまり再入国を制限することはできると判示しています。これは例えば日本から出国した後に、反社会的活動などを海外でやった外国人が、日本にもう一度入国したいと言っても、認めるわけにはいかないのは当然でしょうというものです。

以上のことから本肢は誤りです。

2 日本に在留している外国人に政治活動の自由があるかどうかという。この訴訟を起こしたマクリーンさんは、日本で国政に関するデモ活動を行い、それがマイナ ス評価されて在留期間の更新がされませんでした。そこで日本政府を訴えたという事件です。ちなみにこのデモ活動は政府転覆を図るという、まともでないデモ 活動だったので、一般常識からすると行政の対応は正しいわけです。そして裁判所も同様の対応を取りました。

まずデモ活動をすればメディアが注目し、広く日本国民に知れ渡ることとなります。それは政治的影響力が大きいといえ、国民の主権的意思決定に影響を与えるので、外国人に政治活動の自由は保障されません。外国人のデモによって政治的意見が変わり、日本国民の投票先が変わったとしたら、それは政治活動に該当するということです。

さらには、外国人による政治活動が憲法上保障されないということから、そのような政治活動を行った外国人の在留期間延長をしない消極的な事情として斟酌することも認められるとしています。本肢は誤りです。

3 外国人生存権の保障は生活保護を憲法上保障されていないが、法律によって生活保護を与えることは憲法上禁止していないとしています。参政権は外国人に、日 本国民の主権が脅かされることになります。ですが、生活保護を外国人に支給することによって、外国人に国を乗っ取られることに直結するとは考えにくいで す。そのため、参政権については外国人には厳しい判示ですが、社会権については緩めです。憲法上保障されているものではないが、

一方で、外国人に対して憲法上禁止されていると、法律を作っても無効です。

解答

3

スポンサーリンク