平成23年度 刑法 裁判所事務官一般職

問題

次の文章の①~⑪の空欄に語句群から語句を入れると,不作為犯に関する説明文となる。空欄に入る語句の組合せとして適当なもののみを挙げているのはどれか。

不作為犯は,( ① )と( ② )に大別される。( ① )とは,構成要件が不作為の形式を採用するものであり, ( ③ )などが例として挙げられる。( ② )とは,作為の形式で規定された構成要件が不作為によって実現されるものである。

( ② )を認めることは( ④ )との見解もあるが,構成要件的行為は,いずれもある程度( ⑤ )に規定されているのが通例であるから,作為犯の形式で規定された構成要件的行為も,明らかに不作為を排除する趣旨が示されていない限り,日常用語的には不作為による遂行をも含む趣旨に解することができるものが多く,( ④ )ことにはならない。

かつては,「無から有は生じない」ということで,不作為は結果への因果性が欠けるという議論があった。しかし,近時は,不作為とは( ⑥ )と解することにより,結果との間の因果性が認められると解されている。すなわち,( ⑦ )という関係が認められれば,因果関係があるとするのである。

もっとも,( ② )について,形式的に結果との因果関係の認められる不作為をすべて処罰するということになると,( ③ )ことになり妥当でない。そこで,( ② )の成立が認められるには,不作為と構成要件的結果との間に因果関係が認められることに加えて,行為者に( ⑨ )が認められる必要があると解されている。( ⑨)は,法令のみならず,契約,事務管理,慣習,条理等を根拠に発生するとされる。また,( ⑮)ことは妥当でないから,( ⑨ )の前提として,( ⑮ )も必要である。

【語句群】

ア 真正不作為犯

イ 不真正不作為犯

ウ 刑法108条の現住建造物等放火罪

エ 刑法190条の死体遺棄罪

オ 刑法218条後段の保護責任者不保護罪

カ 具体的

キ 抽象的

ク 何もしないこと

ケ 一定の期待された行為をしないこと

コ 当該期待された行為がなされたならば,当該結果が生じなかったであろう

サ 当該行為をしなければ,当該結果が生じなかったであろう

シ 罪刑法定主義に反する

ス 処罰範囲が広がり過ぎる

セ 法が人に不可能を強いる

ソ 故意

タ 作為の可能性

チ 道義的な作為義務

ツ 法的な作為義務

(参照条文)

刑法108条

放火して,現に人が往居に使用し又は現に人がいる建造物,汽車,電車,艦船又は鉱坑を焼損した者は,死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法190条

死体,遺骨,遺髪又は棺に納めてある物を損壊し,遺棄し又は領得した者は, 3年以下の懲役に処する。

刑法218条 老年者,幼年者,身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し,又はその生存に必要な保護をしなかったときは, 3月以上5年以下の懲役に処する。

1 ①ア ④ス ⑨ツ

2 ②ア ⑤キ ⑧シ

3 ②イ ③ス ⑪ソ

4 ③ウ ⑥ケ ⑩ス

5 ③オ ⑦コ ⑮セ

解答

5