平成20年度 社会科学 裁判所事務官一般職

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問題

最高裁判所の判例または裁判書に関する次のア~エの記述の正誤の組合せとして最も適当なのはどれか。

ア 最高裁判所の判決書には、その判決が何について判断したのかを示す「判示事項」と判決の要点を簡潔にまとめた「判決要旨」が記載されていなければならない。

イ 最高裁判所の判例の変更は、その判例が大法廷のものであるときは大法廷で、その判例が小法廷のものであるときは小法廷で、それぞれ行わなければならない。

ウ 最高裁判所の裁判書には、各裁判官の意見を表示しなければならないとされており、法廷意見とは異なる意見や法廷意見を補足する意見についても、裁判書に記載される。

エ 最高裁判所の判例は、制定法の欠缺を補充し、法文に規定のない一般法理を定立し、法文を実質的に修正するなどの機能を果たしていることから、法律と同一の効力を有するとされている。

解説

ア 判決書には判示事項を記載しなければなりません。この点ではこの選択肢は正しいのですが、判決要旨も記載しなければならないとしている部分が誤りです。ちなみに、判決要旨を記載してはならない、わけではありません。別に記載しても良いのですが、法律で強制されているわけではないということです。

イ これは一番切りやすい選択肢です。判例の変更が行われるときは常に大法廷です。そのため、大法廷で判示されることが決まった時点で、何らかの判例変更がされるということが予見できるということです。判例の変更がない場合は小法廷です。過去の判例に従って判示するときは小法廷で裁判されます。

ウ 最高裁判所の裁判書には各裁判官の意見を表示しなければなりません。例えば非嫡出子(婚姻外の子)の相続分が嫡出子より少ないことについて、平成7年の最高裁判決では法廷意見と しては合憲でしたが、違憲という意見を出した裁判官が半数弱居ました。つまり僅差で合憲となりました。ちなみにこの判例は平成25年に変更されて違憲判決 が出ています。このように、法廷意見と異なる反対意見を各裁判官が表示しなければならないのが最高裁判所の裁判書です。これは正しい選択肢です。

エ 法律と同一の効力を有するとされているが誤りです。確かに判例は法令の一つであり、法としての効力は持ちます。しかし、判例は裁判官の裁量で変更できるものです。法律というのは国会で議決を 経なければ変更できません。判例に法律と同一の効力を認めてしまうと、国民から選ばれた代議士で構成される国会で決めた法律が、裁判官一人によって判示さ れた判例と同一の効力を持つことになり、国民代表が制定する法律という側面が軽視されます。民主主義が機能する国会が制定した法律と、裁判所が判示した判 例は別物として扱われます。

解答

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