情報セキュリティマネジメント試験合格者の傾向分析

本日は第一回目の情報セキュリティマネジメント試験の合格発表日でした。

同時に基本情報技術者試験の合格発表もされており、統計データも発表されているため情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験の合格者の傾向などを分析してみたいと思います。Excelでの厳密な集計は別途しますが、ざっと数値を見た上での雑感が以下のようなものです。

 

詳細は後で記載しますが、おおざっぱにいう情報セキュリティマネジメント試験には以下のような傾向があります。

  • 情報セキュリティマネジメント試験は社会人の受験が多い
  • 理工系に限らず文系まで幅広く受験する
  • 一般職事務系の女性も受験するため基本情報よりも女性の比率が高い
  • 社会人が多いため他の試験種より合格者平均年齢が高い
  • 職場から半ば強制的に受験するように言われているか、昇級のために必要な要件の一つとして充当する目的で受験する社会人が多いため受験率が高い

一方で基本情報技術者試験には以下のような傾向があります。

  • 基本情報技術者試験は学生の受験が多い
  • 特に理工系かつ情報系の学生が多い
  • 理工系は女性の比率が文系よりも圧倒的に低いため基本情報技術者試験の女性比率も低い
  • 学生が多いため他の試験種より合格者平均年齢が低い
  • 社会人と比べて「受けなければいけない」という強制力が薄いため朝眠いなどの理由で来ない人が多く受験率が低い

ただし男女比率の項目については私が試験を受けた上での雑感です。男女比率についてはIPAは統計データを公表していません。傾向としては電気電子分野の色が強くなる試験ほど女性比率は低くなります。エンベデッドシステムスペシャリストだとかなり男性比率が高いです。

 

以上の情報セキュリティマネジメントと基本情報の両者を見ると対照的なものになっていることがわかります。情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験は互いに受験者層があまりかぶらないようになっています。そして情報セキュリティマネジメント試験の受験者層はITパスポート試験と似通っていることも注目点です。

合格者平均年齢

合格者平均年齢については面白い結果になっています。

まず情報セキュリティマネジメント試験は応募者と受験者の平均年齢が一緒です。これは試験を申し込んだ人はほぼ皆受けに来ていることになります。

これは私が今回実際に情報セキュリティマネジメント試験を受験して「出席率が高い」と感じたことと一致します。すべての世代がまんべんなく欠席すれば平均年齢も同じになるので、「平均年齢が同じ⇒出席率が高い」は成り立ちませんが、「出席率が高い⇒平均年齢が同じ」はほぼ成り立つといえるので、私が試験日に感じた出席率の高さを裏付ける傍証くらいにはなっています。

そして情報セキュリティマネジメント試験は受験者の平均年齢よりも合格者の平均年齢のほうが高いです。これは情報セキュリティマネジメント試験が社会人に有利な業務上の問題が午後に多数でていることから、中高生や学部生のような年次が低い世代に不利な試験であったのが理由だと思われます。

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一方で対照的なのが基本情報技術者試験です。

基本情報技術者試験では応募者の平均年齢より受験者の平均年齢のほうが低くなっています。つまり当日は若い人ほどしっかり試験を受けに来たということになりますが、これは「社会人は職場の要請で受けに行っているからしっかり受けるが、学生は朝眠いなどの理由で欠席しがち」という私の雑感に反する結果となりました。

基本情報技術者の合格者の平均年齢については妥当な結果です。受験者より合格者の平均年齢のほうが低くなっており、これは基本情報は社会人に不利であり学生に有利な試験であることからも明白です。

基本情報は業務上の問題はほとんどでず、離散数学やアルゴリズムとデータ構造・プログラミングなど理系情報系の人なら誰でも勉強しているものが大量に出題されるからです。

社会人になってからSEの分野に飛び込んだ人はこれら数学的なこととプログラミングをやったことがない人が多く、多くは研修で少しだけプログラミングをやってからすぐに文書作成のような事務仕事をメインでやることになります。よって基本情報で出題されるような理論的、学術的なことは社会人には不利です。よってこのように合格者の平均年齢が下がることは納得できます。

一つ問題なのは、情報セキュリティマネジメント試験はITを専門にしている人以外もターゲットにした幅広い人に受けて欲しい試験として開始したはずです。でも実際は平均年齢40歳というシステム監査技術者やプロジェクトマネージャレベルのベテラン層が大量に受けているという結果がわかってしまったので、これでは多くの”ITにそれほどくわしくない”層が受けに来てくれないことにもなりかねません。初回試験だからこそ一時的にこうなっただけだとは思いますが、できれば情報セキュリティマネジメントは平均年齢28歳くらいの試験になって社会人になる前の就活生から入社して間もない人が多く受験しようと思える試験になって欲しいと思います。