2016年4月から初めて実施された情報セキュリティマネジメント試験の合格発表が本日ありました。
合格者の傾向分析は別途詳細に行います。
以下ざっと説明していきますが、今回の試験結果はこれから情報セキュリティマネジメント試験を受けようとする大方の受験者にあまり参考になりません。
SIerのような情報セキュリティを重視する企業が従業員に半強制で受験させているため大量に古参が受験したという話もあります。本来ならSIerなら情報セキュリティスペシャリストを取らせるべきですが情報系の修士課程まで出ていても一向に受からないSIerの人は結構います。受験プロ層がこぞって受験したためにあまりにも偏った試験結果になっているからです。情報セキュリティマネジメント試験の回数を重ねるごとに基本情報や応用情報のような分布に落ち着いていくと思います。
幸いなことに情報セキュリティマネジメント試験は「絶対評価」の試験ですから60点以上取れれば合格します。どんな強豪が大量に受験してきても「相対評価」ではないので他人は関係ありません。特に情報技術分野にあまり詳しくない方は今回の試験結果を見て「こんな高い合格率なら簡単に受かる」とは思わないほうがいいです。今回の合格率は高度試験にすでに合格しているような受験のプロが趣味がてらや面白半分で大量に受験したせいですので、合格率が高いからといってあまり侮らないほうが良いと思います。
午前試験を80%以上の得点率で通過している人が11,226人もおり受験者の62.5%を占めています。
午前試験の合格ラインである60点以上を取って午前を通過した人は16,937人で、受験者全体の94.3%も占めています。
午前試験を95%近くの人が通過しており、しかも一番人数が多い得点帯が80点台というのも異様です。
同じく今回同時に合格発表がされた基本情報技術者試験とくらべてみると一目瞭然です。
基本情報は午前通過者のうち60点台が最も人数が多くなっています。次に多いのが50点台です。60点が午前通過のボーダーラインですから基本情報は資格試験らしいとても綺麗な分布をしていると言えます。
先ほどの情報セキュリティマネジメントの得点分布に戻ってみます。
午後試験を見ると最も人数が多い得点帯は90点台です。ここに午後受験者のうち40.7%に相当する7,281人が固まっています。興味深いのは点数が低くなるにつれて人数も少なくなっていることです。普通はもっとも厚みのある得点帯が60点近辺になり、高い点数低い点数に行くにつれて裾の薄くなる分布になるものですが、今回の情報セキュリティマネジメント試験は明らかに分布が偏っています。そして最終的には87.6%もの人が合格しています。
こうなった理由は明らかです。情報セキュリティマネジメント試験の初回試験ということもあり受験のプロ層がこぞって受験したのが原因です。
これから情報セキュリティマネジメント試験の講座の準備をする予備校関係者も受験してるでしょうし、高度試験に多数合格している情報処理技術者試験の古参が新しいもの好きや制覇願望といった形で受験しにきたのでしょう。その証拠として情報セキュリティマネジメント試験の合格者の平均年齢は40.1歳です。これは一般に難関とされるシステム監査技術者やプロジェクトマネージャ試験の合格者と同じくらいの高年齢です。
ほぼ情報処理技術者試験を極めている層が2016年4月の第一回目情報セキュリティマネジメント試験を受けたためにこうなっているので、今回の結果はあまり気にしないようにしましょう。
私が情報セキュリティ「スペシャリスト」試験に合格したときは私の前後席の人は不合格になっていましたが、今回は私も含めて前後席も更にその先の席の人もみんな合格しています。年齢層が高く感じたのもプロ層が多かったためと考えられるので、今後は受験層が若返りしていくと思われます。